あなたも影を見てる?プラトンの洞窟の比喩で考える現代のフェイクニュース

影を現実だと思っていないか

SNSをスクロールしていて、「えっ、本当に?」と目を疑うニュースに出会ったことはありませんか。
ある人は「この食べ物は健康に良い」と言い、別の人は「いや、危険だ」と言う。どちらも数万回シェアされ、どちらもそれらしく見える。

気づけば、私たちは影を掴むように、確かな実態のない情報に振り回されています。そこで必要とされるのが「情報リテラシー」です。

この情報リテラシーを考えるにあたって、古代ギリシャの哲学者プラトンの「洞窟の比喩」が役に立ちます。プラトンは、洞窟の壁に映る影を見つめる人々の姿を「現実を誤解する人間」の比喩として語りました。
それはまさに、今日の情報社会の私たちと重なっているのではないでしょうか。


プラトンの洞窟の比喩とは

プラトンの有名な寓話はこうです。
暗い洞窟の中で、人々は鎖に繋がれ、壁に映る影だけを見ています。彼らにとっては、その影こそが現実。
しかし、外の世界には光があり、豊かな景色が広がっているのです。

この話が問いかけるのは、「あなたが信じているものは本当に真実だろうか?」 ということ。

SNSのタイムラインに流れてくる情報は、誰かが作った影にすぎません。
それを現実だと思い込むか、それとも洞窟を抜け出し、光を探すか。選ぶのは私たち自身です。


現代の「洞窟」=SNSとニュースの世界

現代社会での洞窟は、きっとスマホの画面でしょう。
通知が鳴り、絶え間なく情報が流れ込むその画面に、私たちは視線を縛られて、その情報をもとに行動を起こします。

一度、フェイクニュースが流れると、数時間で数万人に拡散されます。たとえ後から誤りが訂正されても、多くの人は最初の「影」を信じ続けてしまう。

なぜなら、人は目にしたものを「現実」と錯覚しやすいからです。
プラトンが言うように、影を現実だと信じてしまうのは、人間の本能に近いのかもしれません。


洞窟から外へ出るには?

では、私たちはどうすれば「影」ではなく「光」を見ることができるのでしょうか。

それは哲学的に言えば、批判的に考える習慣を持つことです。

  • 情報を見たら「本当に?」と一度立ち止まる
  • 複数の視点を確認する
  • 出どころや根拠を探る
  • 自分の信じたい気持ちを自覚する

これらを意識することは難しいことではありません。このように考えることが、情報リテラシーを身につける第一歩になります。
プラトンの比喩を思い出して「これは影かもしれない」と考えるだけでも、フェイクニュースに騙されたりすることなく、一歩外の光に近づけるのです。


哲学が日常にくれるもの

哲学というと難しい学問のように思えます。
けれど実際には、哲学は「当たり前に疑問を持つ力」を私たちに与えてくれます。

情報の洪水にさらされる現代でこそ、哲学は私たちの支えになり得る。誰かが作った「当たり前」を疑う力を与えてくれるのです。
プラトンの洞窟は、2000年以上前の物語でありながら、今の私たちの姿を鮮やかに映し出しています。


結びに:あなたはどこを見ているか

あなたが今見ているのは、影でしょうか。それとも光でしょうか。

ニュースやSNSを前にするとき、私たちは洞窟の壁を見つめる囚人と同じ立場にいます。
しかし、ほんの少し疑うことで、洞窟の外の光に触れることができる。

プラトンの問いは、現代の私たちにも非常に示唆に富んだ問いです。
「あなたは影を現実だと思い込んでいないか?」
この問いを胸に、次に目にするニュースを読んでみてください。

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